課題をクリアしていく貪欲な創造力、明日の農業を拓く。
研究農場 野菜第3グループ チーフ
千葉 潤一
1989年入社/農学部卒
仕事のミッション
2001年からハクサイのメインブリーダーとして新品種の開発を担当しています。この10年の間に、自分の手で世に出した品種は、全部で20品種くらいでしょうか。日本向けの品種開発に加え、海外市場を開拓するために韓国、中国向けの開発にも力を注いでいます。また、ハクサイだけでなくキャベツ・ブロッコリー・ホウレンソウといった葉菜類育成グループのチーフとして、育種の方向性やプログラムなどの統括もしています。
栽培において重要な苗作り。生育状況は自らチェック。
仕事の醍醐味
2002年から取り組み始めた韓国向けのハクサイ品種が、ついに2010年に完成しました。韓国は世界的にも国民一人当たりの野菜消費量が多く、特にハクサイはキムチ用などに需要が大きいのですが、好みが日本とはまったく異なります。日本では鍋物か浅漬けで食べることが多いため、肉厚で水分が多く、やわらかいものが好まれます。一方、韓国ではキムチとして長時間漬け込むため、水分が少なくて歯切れがよく、葉の枚数が多いものが求められます。他にも土質、気候条件などさまざまな課題を乗り越え、8年の歳月を経て、韓国向けハクサイ第一号の「CR春良(チュニャン)」を開発。現在韓国で大きなシェアを占める他社品種に対抗するため、キムチへの加工適性だけでなく、耐病性と栽培しやすさをもたせました。今春の栽培結果が韓国でも高く評価され、すでに来年分のタネの注文がどんどん入ってきているところです。現在、韓国でのタキイのシェアはほとんどありません。あと5年で10%に、その先は20、30%と拡大していくのが目標です。
もうひとつ視野にあるのが中国でのシェア獲得。中国には、自社農場の立ち上げのため青島(チンタオ)に3年間赴任した経験があります。現地で、タキイ品種の試験栽培や生産農家に対する技術指導などを行っていました。経済発展を遂げて生活レベルが向上する中で、高価ではあるが付加価値が高く品質に優れたタキイ品種が食い込むチャンスは拡大しています。既に中国向けの品種開発も急ピッチで進んでおり、現地でも試作をしているところです。
ブリーダーという仕事は、自ら品種開発のコンセプトを描き、徹底して現場の生産農家の声を汲み取って、世の中になかったモノを生み出すことができます。広大な産地一面が自分の品種で埋め尽くされたり、スーパーで自分の品種を手にとる親子を目にするとき、この仕事のやりがいを感じます。
各地の生産農家へ出向き、新品種の試作調査を行う。
みなさんへのエール
とりあえずどこかの会社へ…というのではなく、「一生情熱を注ぐ仕事を見つけるんだ」という意識で活動してほしいですね。採用時の面接やディスカッションで小手先のテクニックなんて必要ありません。まず自分が何をやりたいか、そこを見せてください。

プライベートタイム
カメラが好きで、面白いなと思った景色や街並みを撮っています。妻と小学生の娘二人もカメラを持っていて、家族で出かけてはそれぞれに撮影した写真を見せ合って楽しんでいます。
手放せない必須アイテム
収穫包丁
料理人だけでなくブリーダーにとってもまさに商売道具です。畑で根を切って収穫し、余分な葉を落として、真ん中から縦割りにするまで、これ1本でこなします。
10年くらい愛用していて、もちろん自分で研いでいます。切れない包丁を使っていると、ブリーダーとして生産農家さんの前で恥ずかしいですからね。
キャリアステップ
1989年~
入社
滋賀の研究農場でブリーダーとしての基礎を身に付ける
1995年~
現地法人立ち上げのため、中国へ赴任
1998年~
帰国後、茨城研究農場でハクサイ担当ブリーダーに
2001年~
滋賀の研究農場で、ハクサイのメインブリーダーに
2007年~
葉菜類グループのチーフに
私の座右の銘
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育種にはゴールはなく、新病害や環境変化へ対応、市場からの要求など、常に新しい課題が出てきます。それらに応えられる品種を創り出していくのが私たちの仕事。人生もまた同じです。常に上を見て、その高みに到達しようとする心を無くしたくないと思っています。